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懶惰宗他力本願寺

自らの力によらず、何かの力すなわち他力を頼み怠惰な生活と往生を願うことを要旨とする懶惰宗の本山、及び架空の宗派。

10/22 The VAN GOGH and GAUGUIN Exhibition

見る 雑記

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ゴッホゴーギャン展に行った。


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先週ダリ展に行ったら、自分の内部で美術展行きますか?という機運が高まったのでそれが冷めないうちに行きました。

まあ実際ゴッホゴーギャンも名前くらいしか知りませんでした。つまりこのとこから導き出されるのは、私は幼少期から絵を描くことが好きだった癖に「人の絵を観賞する」方面への興味がまるでない人間だったということです。しかもゴッホに関してはどうぶつの森で「ひまわり」を見た結果「別に好みじゃない芸風である」と感じて以来これといった興味もありませんでした。今回の展に行こうとなったのは単純に消去法と、ゴーギャン先輩の自画像における面構えが割と気に入ったということで、これは大変罰当たりな理由だといえます。

東京都美術館
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若冲展というかつてない地獄、今年の地獄ランキングでベスト3には確実に入る地獄が開催された東京都美術館でやる展、これだけで嫌な予感がさわさわしていましたが特に問題ありませんでした。ゴッホってだけで多量の人間が集まるとは限らないんですね。じゃあなんで若冲展は地獄だったんですか?つくづく芸術は謎が多い。

ん?

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ゴッホ役: 小野大輔ゴーギャン役: 杉田智和 ... ... ...?

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あぁっ...足が勝手に音声ガイド受付に...

基本的にケチだし、解説ナレーション聴きながら解説文を読むとか実際ままならないということで普段は音声ガイド無し派です。しかしこれは視聴不可避感がバチバチに放出されており、声優に釣られたという本当にどうしようもない理由でまんまと520円を払っています。ただこの選択が予想外に良い結果を生みました。たいてい大きな美術展では展示が一定のまとまりごとに章化され、章のはじめには紹介文、画家がどんな生活だったか、時代は、といった解説文が掲示されているのですが、私はこれをスッ飛ばしています。そのため、展の後には画家についての情報がほとんどありません。しかし、今回の展の音声ガイドはゴッホゴーギャンの独白+解説という構成、これがかなり良く、解説音声と解説文(or絵)は脳内で同時進行できずストレスが溜まるだけなのに、人のセリフ+解説文(or絵)の同時進行はかなり容易に実現できる点で優れている。セリフの熱量も鑑賞の邪魔になる程まではいかないのにゴッホの情緒の危険が危ない感じは伝わるという加減、この時ふたりの画家はどういう状況だったのかがスッと入ってくるのは、歴史の授業よりもドラマとかゲームでやったほうが憶えられるという現象と完全に一致しており、音声ガイドすごかったです。あと、まったく関係ないんだけど「ゴーギャン」って名前、口が楽しすぎですし、\ゴギャァァァァン/という擬音にも応用できます。嬉しいですね。


すきなやつ
v: ファン・ゴッホ g: ゴーギャン なし: その他

古い教会の塔、ニューネン v
ぽつんと境界が建っている周りはひたすら寂しさが迫りくる。どんより

鵞鳥番の少女
かわいい。こんなにガチョウを描いて飽きないのもすごい

夢を見る子供 g
想像要素入れて油絵を描くのがこんなにマイナー視されていたとは思わなかった。というか私はだいたいの画家が想像盛りまくって絵を描いていると思っていたのに、デフォルメしまくっているだけで現実に置いてあるのしか描いてませんけど?ということらしいです。知りませんでした。そのため私が描いた初めての油絵画は完全に想像の組み合わせでいきなり王道から外れてしまったことがわかりました。

自画像 g
ダークトーンが多い中で赤と白が鮮やか。ポイントっぽく使ってるのが絶妙で、これ以上赤が増えると主張が強すぎるという所を踏みとどまっている感じがする。

パイプをくわえた自画像 v
鉄が錆びてるような色がカッコよい。

v
ゴッホのこういう路線かなり気に入ってきて、ひまわりとは何だったのかという気分になりはじめる。

自画像 v
なんか見たことあると思ったらチケットとかパンフとかの自画像これでしたね。

石膏トルソ(女) v
しっとり

ボートの浮かぶセーヌ川 v
ざくざくに描いてるのになぜ水の透明感が感じられるのでしょうか。

モンマルトル、ムーラン・ド・ラ・ギャレットの裏 v
よく見るとカラフルなかりんとうがたくさんある。ひとつひとつを見ると奇抜な色が多いのに全体で見るとあらかわいらしいという風になっている。こういうのが飾りたい絵、なのかもしれない。

パイプと麦わら帽子の自画像 v
どことなくおちゃめ感

ブルターニュの少年の水浴 g
かなり癒し要素があり気に入りました。裸がどうこうというより、人間の脳は肌色っぽい色を見ると安心するのかもしれない。しかも奥に緑もあるし。あれ?書いてて思ったけどこれってつまり自然ってことで、ゴギャーンさんが目指していたものなのでは?気負いがない、自然状態とは安心...あ~(思考停止)

マルティニク島の風景 g
色紙を切って貼ったみたいな

グラスに生けた花咲くアーモンドの小枝 v
筆跡すごいのに繊細でかわいらしい。背景の赤ラインの入れ方がすごい

レモンの籠と瓶 v
素朴だし、じゃがいもっぽい色なんだけど、どこかですっぱい

ズアーヴ兵 v
こういう色づかいよい、きれいな緑

耕された畑 v
厚塗りすぎィ!これは絵の具がいくらあっても足りませんね...

公園の小道 v
人のわらわら感が遠くにあって、ざわざわした音がきこえてきそう

恋する人 v
これも緑がよくて、先の「ズアーヴ兵」とシリーズっぽくなってるのが個人的にツボ。「彼はこの町の女性たちの多くを手に入れているからね...画家には無理な話さ(悲哀)」的なセリフがあったけど、いや、あなたもかなり好き勝手してそうですけどもね。まあさすがに弟に完全寄生している身ではむしろ自重すべきかもしれないがという常識的な考えは早々に捨てた方がよさそうだ

ゴーギャンの椅子 v
小道具だけで本人を表現するという手法、真似したい

カミーユルーランの肖像 v
俺は男だよ!

木靴職人 g
どんどんパーツがシンプルになっていくゴギャーンさん。

リスカンの並木路、アルル g
並木道にいちょうの葉が落ちてる状態、一瞬だけ見たらこんな感じなんだろうかというイメージ。グレーの重要性

ブドウの収穫、人間の悲惨 g
手前の女性の腕と顔の色があまりにも違いすぎて不安になってくるが、悲惨要素なので問題ないですね

アルルの洗濯女 g
ゴッホと同じモチーフを描いたけど、私はゴッホみたいに遠くからではなく上から覗き込むことにしたよんという構図らしい。

タマネギの皿のある静物 v
ゴーギャンの椅子と同じ香りがある。本に使われてるピンクがいいと思った。

ジョゼフ・ルーランの肖像 v
背景の壁紙、模様がかわいい

オリーヴ園 v
小野大輔が「青い空...銀色に輝くオリーブ...(うっとり)でもなんかうまく描けないんだ...」とかいってるんだけど、絵は全然「青い空」感なくて、どんより...ざわ...ぞわ...といった感じの印象が強い。というか筆の運びがうねうねしてて不安をかきたてられるばかりですね。もう鬱が加速しまくっている時期だなというのが率直に伝わってくる感じがある

渓谷 v
ぐにゃぁ...

家畜番の少女 g
「マルティニク島の風景」ぽい。オレンジ要素がポンとあるのがよい。

ハム g
異空間にうかぶハム

タヒチの3人 g
タヒチ編のゴギャーン作品はあまり自分には馴染まなかったけど、これはなんとなくうぉっとなりました。

肘掛け椅子のひまわり g
ふたりの人生をチラッと追った結果、コンセプト的に感傷に浸れる。ふたりの画家どうしの信頼関係のあれやこれやとか衝撃の別れとかを思い出してちょっとうるるとなる


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期待も何もなしで行った展だったのに、図録まで買ってしまいました。よかったですね。

展示の合間にふたりの書いた色々な手紙の一節が散りばめられていて、いかにふたりが画家として認め合っていたのかとか、いかに路線が違いすぎるというか性質的に違いすぎるのかってことが表現されていてよかった。声優じゃなくても声の演技がうまい俳優、アナウンサーとか職業は問わないから、このセリフ形式の音声ガイドまたどこかでやってほしい。なんか作品だけじゃなくて、音声ガイド含め、全体的な展の構成自体が非常によくて、独立した作品群を見に行くというよりはひとつのアトラクションが終わりましたって感じがする展だったように感じた。

同居しようぜ!(ただし金は弟から出る)とうっきうきのゴッホのセリフの後に、あいつちょっとはしゃぎすぎてねぇか...みたいなゴーギャンのセリフがあったり、ゴッホが死んだあとにそれについてゴーギャンがどんな感想を持っていたのかがあったり、ゴーギャンの、自然に帰りたいんじゃ...プリミティヴ最高...近代化はクソ...みたいなセリフがあったりで、にわかながらもふたりのイメージが結構簡単に脳内で作れるのがひたすら便利だった。ただびっくりしたのは、ゴッホのクレイジー感と比較してゴーギャンは冷静な人間っぽく描かれていたのにWikipediaゴーギャンの情報見たらゴーギャンも別に常識人というわけではなくて、ただ単にめちゃくちゃな人間の中にも上には上がいるというだけだったっぽいということです。

美術館終わって広場に出たら工芸品市場みたいなのやっててそっちもクッソ面白かった。今日は午後に予定があったから無理だったけど、何もなかったら色々買ってしまっていただろうにのう。



≪追記≫
さっきこの展のホームページの記事を色々と見ていたんだけど、その中の音声ガイド詳細のページで見かけたコメントがまんま私自身の感想と一致してて驚いたからのせておく。本当にその通りで、よい展だったと改めて思い出している。

ひまわりの人、名前が強そうな人程度の知識でも何の問題もありません。
彼らの生き様をお楽しみください。よろしくお願いします。
 ――杉田智和(ゴーギャン役)